日本小児外科学会雑誌
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左水腎症によりレニン依存性高血圧を発症した3歳男児の1例
岡田 安弘宮本 正俊元井 勇齋藤 勝彦
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2006 年 42 巻 5 号 p. 579-584

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抄録

症例は3歳5カ月男児.3歳3カ月時より嘔吐と腹痛を繰り返し,近医にて高血圧を指摘され紹介.画像診断上,左腎盂腎杯の著明な拡張と腎実質の菲薄化を認め,末梢血のレニン活性,アルドステロンが高値であり,また左右の腎静脈血中のレニン活性では左側が右側の約5倍の値を呈していた.左腎盂尿管移行部狭窄症によるレニン依存性高血圧と診断し,左腎瘻造設を施行した.術後血圧は低下したが,左腎尿への蛋白漏出が著明な為,結局内視鏡下左腎摘出術を施行した.腎摘後約2週間で血圧は低下し,約2カ月後にはレニン活性,アルドステロン値共に正常化した.摘出腎の病理所見では,実質に,瘢痕状に萎縮した部位と,比較的健常な形態を保つ部位が混在し,健常な部位では,尿細管の増生や正常な糸球体構造,更に傍糸球体細胞の増生と考えられる所見を認め,同部位が,レニン産生の主座となっていた可能性が示唆された.

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