日本小児外科学会雑誌
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臍帯結紮リングにより回腸閉塞をきたした超低出生体重児の1例
渡邊 美穂小室 広昭金子 道夫堀 哲夫平井 みさ子瓜田 泰久井上 成一朗吉見 愛
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2007 年 43 巻 1 号 p. 58-61

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抄録

臍帯結紮リングの使用により腸閉塞を生じたと考えられる超低出生体重児を経験した.症例は在胎25週4日798gにて出生.日齢1日臍帯結紮リングを使用し臍帯処置を施行された.生後排便は認めず腹部膨満が進行した.日齢18日胆汁性胃残出現,日齢19日当院転院,同日緊急開腹術施行した.臍部に回腸が癒着,捻転していた.捻転解除後臍部の剥離を試みたが剥離できず腸管内容が流出した.閉塞部位を含めて回腸を切除した後,回腸端々吻合術を施行した.この時点で腸閉鎖の原因は回腸の臍部への癒着・捻転と考えていたが,術後3病日,縫合不全に対して再開腹術,腸瘻造設術を施行した際,外見からは判別できないほど皮下に埋没していた臍帯結紮リングに気づき摘出した.前回の術中写真を検討した結果,臍帯結紮リングに腸管が巻き込まれ腸閉塞をきたしたと判明した.稀ではあるが,臍帯結紮リングを使用する際には本合併症の可能性を考慮する必要がある.

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