日本小児外科学会雑誌
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4回の開腹術下セプラフィルム^[○!R]使用により癒着を防止した両側性ウイルムス腫瘍の1小児例
飯干 泰彦澤井 利夫草深 竹志関 保二島 博基藤元 治朗
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2007 年 43 巻 5 号 p. 692-695

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抄録

腹膜の癒着防止は,将来的に腹膜透析で管理する可能性のある両側性ウイルムス腫瘍患児において,予後を決定する重要な因子のひとつである.今回,4度の開腹術において,腹膜の癒着を防止する目的で合成吸収性癒着防止剤であるセプラフィルム^[○!R]を用いた小児例を経験したので報告する.症例は両側多発性ウイルムス腫瘍の6か月女児.開腹生検,右腎摘出術,2度の左腎腫瘍核出術を行い,各々の閉腹時に開腹創直下にセプラフィルム^[○!R]を使用した.また,2,3,4度目の開腹術において癒着の強さと範囲を直視下に評価した.いずれの開腹術においてもほとんど癒着を認めなかった.今回の両側性ウイルムス腫瘍患児の開腹術におけるセプラフィルム^[○!R]の使用は,安全で,腹膜の癒着を防止し,将来的な腹膜透析にも有利であると思われた.患児は,5歳4か月現在腫瘍の再発がなく,透析の必要もなく,身長,体重の伸びも順調である.

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