日本小児外科学会雑誌
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ガストログラフィン注腸にて改善した毛髪胃石による腸閉塞の1小児例
近藤 祐一飯干 泰彦澤井 利夫関 保二藤元 治朗
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2007 年 43 巻 7 号 p. 945-947

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抄録

本邦では毛髪胃石による腸閉塞は非常にまれである.しかし,小児領域においては胃石による腸閉塞症例のほとんどを毛髪胃石が占める.今回ガストログラフィン注腸にて改善した毛髪胃石による腸閉塞の小児例を経験したので報告する.症例は11歳の女児で,下腹部痛,嘔吐を主訴に近医を受診し,腸閉塞の診断にて当院に紹介された.腹部X線で鏡面像を認め,イレウスチューブを挿入したが改善がみられず,ガストログラフィンによる注腸造影にて回腸内に腫瘤状陰影を認めた.注腸造影の翌日,腸閉塞が解除され,3個の毛髪胃石が肛門より排出された.毛髪胃石による腸閉塞の治療では,これまで胃もしくは腸切開による摘出がなされてきたが,本症例のごとくガストログラフィン注腸により毛髪胃石が排出される場合もあり,本法は毛髪胃石による腸閉塞治療の選択肢になり得ると考えられた.

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