日本小児外科学会雑誌
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無触知精巣の治療方針
坂本 浩一松藤 凡加治 建下野 隆一村上 研一高松 英夫
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2008 年 44 巻 2 号 p. 124-128

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抄録

【目的】当科で過去10年間に経験した無触知精巣(nonpalpable testis, NPT)の治療方針について検討した.【対象及び方法】1993〜2002年の10年間に経験した停留精巣170例214側のうちNPT症例31例33側を対象とし検討を加えた.【結果】NPTに対しては基本的には腹腔鏡準備の上で鼠径管開放精査を行い,精管,精巣血管を認めないものに対して腹腔鏡検索を行った.鼠径管開放精査を行ったNPT28例30側のうち,手術時鼠径部に固定可能な精巣を認め固定術を施行したものが11側(36.7%),萎縮精巣あるいはvanishing testisのため除睾術・遺残組織摘出を行ったものが17側(56.7%)であった.鼠径部に血管,精管を認めず腹腔鏡を施行したものは2側(6.7%)あり両者とも腹腔内vanishing testisであった.【結語】NPTでは萎縮精巣,vanishing testisが多いが大多数は鼠径部に存在している.また固定可能なものも多くは鼠径部に存在しており,治療の第一選択としては腹腔鏡を準備した上での鼠径管開放精査が最も有用であると考えられた.

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