2009 年 45 巻 2 号 p. 231-234
症例は日齢12の男児.日齢1より経口哺乳を開始,日齢11より胆汁性嘔吐,腹部膨隆を認めた.日齢12に血便が出現し,腸回転異常症による中腸軸捻転症を疑われ当院搬送となった.当院で注腸造影,上部消化管造影を施行し絞扼性イレウスを否定できず,開腹術を施行した.術中所見では中腸軸捻転は認めなかったが,腸回転異常および虫垂穿孔を認め,急性虫垂炎の穿孔による汎発性腹膜炎と診断した.術後経過は順調で,術後22日目に前医転院となった.新生児の急性虫垂炎はまれであり,また特異的な症状を認めないことから術前に診断することは困難であるとされ,そのほとんどが術中,術後に診断されている.新生児に血便を伴うイレウスを認める場合には本症も鑑別診断の一つとして考慮しながら診療を行うことが必要と思われた.