日本小児外科学会雑誌
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小児内視鏡施行の現状ならびに偶発症 : 2000~2004年間の集計報告
大塩 猛人
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キーワード: 小児内視鏡, 偶発症
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2009 年 45 巻 4 号 p. 711-718

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抄録

【目的】日本小児内視鏡研究会において,本邦での小児における内視鏡施行の現状を把握するために以前に2回のアンケート調査が行われた.今回,同様の調査を行いその集計結果について報告する.【方法】日本小児内視鏡研究会世話人施設を対象とし,期間を2000年からの5年間とした. 【結果】60施設に依頼して39施設(65%)より回答を得た.小児内視鏡14,192回が施行され,上部消化管5,049件, ERCP 238件,下部消化管1,861件,気管支鏡2,983件,腹腔鏡3,593件,胸腔鏡468件であった. ERCP,下部消化管はほぼ増減がなく,上部消化管は軽度減少傾向を,気管支鏡は増加傾向を示した.腹腔鏡および胸腔鏡は著明に増加していた.上部消化管, ERCP,気管支鏡,腹腔鏡は治療目的の施行割合が調査毎に増加し,腹腔鏡および胸腔鏡において3/4を占めていた.偶発症の発生は,上部消化管8件,下部消化管4件,計12件であり,以前の2回の調査に比較して偶発症の発生率が減少していた.腹腔鏡は32件,胸腔鏡は12件,計56件であり著明に増加していた.偶発症は消化管穿孔が最多で,出血,呼吸循環系の順であった.なお,偶発症に起因する死亡例はなかった.使用された内視鏡使用機種は多岐にわたり,電子スコープの使用施設が増加していた.【結論】各期間での回答した施設が異なるために比較検討することには無理があるが,前2回の調査に比較して治療目的の施行割合が増加し,また偶発症の発生率が腹腔鏡および胸腔鏡で著明に増加していた.

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