日本小児外科学会雑誌
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CIIPS(Chronic Idiopathic Intestinal Pseudo-obstruction Syndrome)3例における排尿機能障害
西澤 秀治山本 知子百瀬 芳隆好澤 克町田 水穂芳澤 淳一高見澤 滋井川 靖彦市野 みどり
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2009 年 45 巻 4 号 p. 739-743

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抄録

CIIPS (chronic idiopathic intestinal pseudo-obstruction syndrome)は腸蠕動運動の低下により機瀧的腸閉塞をきたす稀な疾患であり,膀胱機能障害を伴うことも指摘されている.当院で経験した3例の下部尿路機能障害についての臨床像をまとめた.症例は9歳女児,6歳男児,1歳4か月男児である.3例ともに消化管に関しては複数回の開腹手術,腸切除の既往があるものの,現在は経口摂取で管理されている.生検や切除腸管には組織学的異常は認めなかった.尿路症状では3例ともに出生前に膀胱拡張を指摘され,生後早期には尿閉のためカテーテルを留置された.その後は全例自然排尿が可能となったが,女児は1歳以降清潔間歇導尿(CIC)を行っている.6歳男児は日中3〜4時間毎の時間排尿,1歳4か月男児は日中自然排尿を行っているが,2例とも夜間のみ間歇導尿を施行されている. Video-urodynamicsでは3例ともに膀胱知覚低下と排尿筋収縮不全による排出障害を認めたが排尿時の尿道弛緩は保持されていた.時間排尿やCICを適切に導入し,膀胱過伸展を予防することによって,膀胱や上部尿路の二次的障害を防止しうると思われた.

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