2009 年 45 巻 5 号 p. 874-878
症例は3歳女児.発熱・間欠的腹痛を主訴に受診した.先進部が横行結腸に存在する腸重積を認め,非観血的整復術を試みたが,整復が不完全であったため,観血的整復術を行った.開腹時,腸重積は認めなかったが,回盲弁より約1cm肛門側の上行結腸内に2cm大の粘膜下腫瘤を認めた.盲腸壁を切開し,さらに腫瘤上の結腸粘膜を切開したところ,腫瘤内腔に粘膜が存在したことから,回盲弁に隣接した上行結腸内の消化管重複症と診断した.回盲弁を温存するため,重複腸管の粘膜切除を行い,結腸を縫合閉鎖した.術後経過は良好であり,術後8日目に退院した.我々はより正常な解剖を保つことで,生理的な機能を温存し,機能不全のリスクを減らすことが重要であると考えた.今回,粘膜切除術を行うことで回盲弁を温存しえた消化管重複症の1例を経験したので報告する.