日本小児外科学会雑誌
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意識度調査に基づく腹腔鏡補助下虫垂切除術(臍部one trocar法)の評価と今後の意識度調査の在り方についての考察
村岡 いづみ大野 康治里見 昭
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2009 年 45 巻 6 号 p. 928-936

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抄録

【目的】当科において小児急性虫垂炎に対する第一選択の術式として臍部one trocar法による腹腔鏡補助下虫垂切除術を採用してから約10年が経過した.今回,臍部one trocar法の評価の一環として,患者アンケートによる患者側の観点からの同術式の評価を試みた.【対象と方法】1996年以降当科において臍部one trocar法を施行した患児を対象に,臍部one trocar法に関するアンケートを行った.なお,患児が十分に回答できない設問に関しては代理として保護者による回答を依頼した.アンケートは非連結匿名化方式にて行った.【結果】386例にアンケート用紙を配送し,168例より回答が得られた(回収率43.5%).アンケート結果の概要を以下に示す.術後の創痛に関しては,なかった・ほとんどなかったが30.4%であった.現在の臍部創に関しては創がわかる56.5%,わからない43.5%であった.手術創の満足度は,非常に満足・満足が61.9%であった.73.2%が今後身近な人に虫垂切除術として臍部one trocar法を勧めると回答した.【結論】今回の調査で患者側の観点から臍部one trocar法が身近な人にも勧められる満足度の高い手術であることが明らかとなった.しかし,検討の過程で今回の調査法が科学的評価の尺度となりうるには不十分であることも判明したため,意識度調査の問題点と今後の在り方についても考察を加えた.

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