日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
精神医学的問題を呈した小腸移植レシピエントの2例
本多 奈美和田 基風間 理郎佐々木 英之天江 新太郎舩越 俊一仁尾 正記林 富
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 45 巻 6 号 p. 946-949

詳細
抄録

小腸移植レシピエントで,精神医学的問題を呈した2例を経験したため報告する.症例1は20代男性.ヒルシュスプルング病にて頻回の開腹術を受け短腸症候群となり,静脈栄養管理下,脳死移植待機中であった.移植前のうつ状態,衝動的な食行動,移植後のせん妄,イライラや衝動的な行為,希死念慮などがみられた.薬物療法,精神療法にて対応した.症例2は20代女性.ヒルシュスプルング病類縁疾患のため小腸移植施行されたが,それ以前より痛みへの恐怖心,不眠,鎮痛剤への依存傾向がみられ,また再移植後のICUでの経験による心的外傷性のストレス,悪夢,体重増加への抵抗感などがみられた.睡眠導入剤の投与と精神療法を行った.2例とも,その後の経過は順調であった.小腸移植患者においては,移植前からの精神状態の評価を行い,精神的問題に注意を向けることが重要であると思われた.

著者関連情報
© 2009 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top