日本小児外科学会雑誌
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リンパ節転移・胸膜播種をともなった縦隔・後腹膜神経節腫の1例
金子 道夫大川 治夫
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2010 年 46 巻 1 号 p. 57-62

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抄録

3歳7か月に背部腫瘤を主訴に受診し大きな腹部腫瘤を指摘された.画像診断の結果脊柱管進展を有する巨大な後縦隔後腹膜腫瘍で,背部腫瘤の生検では神経節腫であった.胸腔内への進展があり,リンパ節転移を強く疑わせる病変もあったことから,悪性成分がある可能性が高いと判断し,腫瘍の縮小も期待して進行神経芽腫のレジメンを3クール施行したが無効であった.開胸すると多数の大きなリンパ節転移と胸膜播種が見られ,亜全摘後腫瘍床に術中照射と術後化学療法を3クール追加した.摘出腫瘍は原発・転移巣ともすべて神経節腫で悪性成分はなかった.尿中VMA,HVAは正常化し腫瘍の再発はないが8年後側弯が出現進行し10年後に側弯に対し手術が必要となった.本症例は乳児期に神経芽腫が進展して転移を起こした後に成熟化したものと考えられた.このような巨大で転移・播種のある成熟化した神経芽腫群腫瘍に対し,今後,過大にならない診断治療方針が必要で,神経節腫なら選択肢として無治療もありうると考えた.

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