日本小児外科学会雑誌
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臍腸管遺残の腸管側端が盲腸であった臍帯内ヘルニアの1例
坂井 幸子仁科 孝子村越 孝次新井 真理近藤 昌敏岡崎 薫水口 國雄
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2010 年 46 巻 2 号 p. 264-268

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抄録

臍腸管遺残部分が盲腸や虫垂であることは極めてまれであり,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は日齢0の男児.在胎35週6日,胎児心音低下のため緊急帝王切開にて出生.体重1,580g,Apgar score 7/8点.臍帯内ヘルニアを認め当院搬送入院,臍帯内の脱出腸管がヘルニア嚢の一部に開口し,便が体外へ漏出していたため,緊急手術を施行.ヘルニア嚢を切開すると嚢内に脱出していた腸管が腸管様索状物によって絞扼されていた.索状物は憩室先端に続き,腸管開口部は憩室基部の肛門側に存在した.憩室をメッケル憩室と診断し,憩室切除,回腸端々吻合術を施行.しかし後日病理所見にて切除部位は回盲部で,メッケル憩室と判断した部位は虫垂と判明した.結腸間膜から腸管を乗り越えて虫垂壁内へと続く太い動脈が存在し,これが臍腸管動脈と考えられ,臍腸管が盲腸部に存在していた可能性が示唆された.また開口部付近の結腸壁内に,臍帯動脈と思われる太い血管が存在しており,本症例での臍帯ヘルニア発生の一因と考えられた.

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