日本小児外科学会雑誌
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当院における腸重積症129例の臨床的検討
山崎 徹岡田 安弘宮本 正俊金田 尚三浦 正義齋藤 勝彦
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2010 年 46 巻 4 号 p. 707-713

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抄録

【目的】腸重積症は乳幼児期に突然発症し,非観血的整復が可能なこともあるが,手術を要したり,再発を繰り返したりする急性腹症のひとつである.今回,当院で経験した腸重積症を臨床的に検討したので報告する.【対象と方法】対象は,1992年から2007年の16年間に当院で治療した腸重積症延べ129例(103症例)である.診療記録をもとに,性別,発症年齢,出生体重,肥満度,症状,非観血的整復率,器質的病変の有無,再発率を中心に検討した.【結果】男女比は2.0:1と男児に多く,2歳未満が67.0%であった.体型として肥満児に多いといわれることがあるが,出生時体重4,000g以上の巨大児は1例,発症時の肥満度が軽度以上(15%〜)は5例に過ぎなかった.非観血的整復率は88.5%(108/122例)であった.器質的病変を認めた症例は,4例,3.9%(腸管重複症2症例,大腸若年性ポリープ1症例,Meckel憩室1症例)であった.再発は16.5%に認めた.器質的病変を認めた症例は全例,再発していた.【結論】いわゆる『腸重積体型』,本症が肥満児に多いといわれることがあるが,出生時体重,発症時の肥満度から判断して,腸重積症と体型は必ずしも関係はないように考えられた.再発がMeckel憩室やポリープなどの器質的病変を必ずしも有しているわけではないが,十分な精査の必要があると考えられた.

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