日本小児外科学会雑誌
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漏斗胸に対するNuss法の合併症の検討
下野 隆一高松 英夫田原 博幸加治 建林田 良啓新山 新松田 博光町頭 成郎武藤 充
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キーワード: 漏斗胸, Nuss法, 合併症
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2010 年 46 巻 5 号 p. 831-836

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抄録

【目的】Nuss法の合併症について分析し,検討した.【対象と方法】2001年3月から2007年3月までに24例の漏斗胸症例に対し胸腔鏡補助下にNuss法を施行した.男女比は18対6で手術時の平均年齢は8.9歳であった.挿入したbarの数は1本が23例,2本が1例であった.バーの固定は初期の8例ではbarを肋骨にwireで固定し,中期の4症例では片側stabilizerを吸収糸で筋層に固定した.最近の12例では両側にstabilizerを使用し,糸による固定は行っていない.3年間のbarの留置の後24例中15例でbarの抜去を行った.【結果】術後早期に起きた合併症は無気肺が8例,皮下気腫が4例,胸水と気胸がそれぞれ1例であった.いずれの合併症も保存的に軽快した.その他barの位置異常が1例,bar挿入部創の感染が1例に見られ,それぞれ再手術を必要とした.晩期合併症としてはbarの位置異常が1例に見られた.またbarの抜去を行った15例中3例に胸郭形成の非対称を,1例にやや不十分な胸郭形成を認めたが,自然軽快中である.【考察と結論】Barの位置異常は大きな合併症の一つと思われるが,両側のstabilizer使用はbarの位置異常を予防する効果があるものと思われた.また,barの感染も大きな合併症で保存的治療が効果無い場合,bar抜去も必要であると思われた.

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