2010 年 46 巻 5 号 p. 884-888
患児は8歳女児.他院にて出生直後に先天性十二指腸閉鎖症(病型は不明)と診断され,十二指腸Diamond吻合術を施行された.染色体異常はなかった.術後,症状なく経過していたが,術後8年目に転居のため当科受診.肝胆膵精査目的に施行した超音波検査にて肝内胆管の拡張及び総胆管の拡張(11mm)を認めた.MRCP検査でも拡張した総胆管を描出した.そのため,膵・胆管合流異常に伴う胆道拡張症と診断し,胆嚢及び拡張胆管切除,肝管十二指腸吻合術を施行した.手術中に輪状膵を認め,また術中胆道造影検査にて16mmの共通管が描出された.また術中採取した胆嚢内胆汁中のアミラーゼは44,226IU/lであった.術後経過は良好で術後13日目に退院した.輪状膵と膵・胆管合流異常の合併は稀であるが,発生学的には密接な関係があると推測された.