日本小児外科学会雑誌
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Distal intestinal obstruction syndromeを認めた嚢胞性線維症の1例
向井 基松藤 凡加治 建池江 隆正川野 孝文松久保 眞右田 美里
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2011 年 47 巻 5 号 p. 848-851

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抄録

Distal intestinal obstruction syndrome(DIOS)を認めた嚢胞性線維症の1例を報告した.症例は1歳9か月の1女児.月齢3より嘔吐,脱水,電解質異常,喘息様気管支炎,気管支喘息の診断で入退院を繰り返していた.今回,気管支喘息重積発作のため入院したが,9病日より腹部膨満が出現した.16病日に腸閉塞の診断で開腹手術を行った.回腸遠位部に食物残渣の貯留を認めた.汗中塩素濃度が207mEq/lと異常高値であり,cystic fibrosis transmembrane conductance regulator(CFTR)遺伝子のdeletion解析で,エクソン16,17a,17bにまたがる完全欠失のホモ接合が判明し,嚢胞性線維症の診断が確定した.イレウス症状は嚢胞性線維症の一症状であるdistal intestinal obstruction syndromeに該当すると思われた.嚢胞性線維症は本邦において現在考えられているより罹患率の高い疾患である可能性があり,本症が疑われる場合汗電解質測定やCFTR遺伝子解析を考慮する必要がある.

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