2011 年 47 巻 5 号 p. 852-856
症例は2か月女児.胎児超音波を含め周産期に特に異常を認めなかった.日齢62より嘔吐を反復し,近医でチアノーゼを指摘され当院救急外来紹介となった.胸部X線検査で右肺過膨張,縦隔の左側偏位を認め,経皮的酸素飽和度が72%まで低下したため直ちに気管内挿管を施行した.胸部CTで,右胸腔は嚢胞性成分で占められ,右下葉,左肺は無気肺をきたしていた.先天性嚢胞性腺腫様肺奇形の急性増悪と考え,緊急手術を施行した.麻酔導入時に換気不全に陥り,右嚢胞穿刺を施行後,直ちに開胸・右上葉切除術を施行し術後は特に問題なく経過した.CCAM症例においては,周産期に特に問題なく無症状でも乳児期早期に急激に呼吸不全を呈する可能性があり注意が必要であると改めて認識した.