日本小児外科学会雑誌
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先天性前部尿道憩室の1例
岡田 安弘山崎 徹元井 勇
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2011 年 47 巻 7 号 p. 1010-1015

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抄録

診断時に上部尿路の合併症を認め,段階的に治療をすすめた先天性前部尿道憩室の1例を報告する.症例は男児で,生後7か月時より尿路感染症を反復.11か月時に施行した排尿時膀胱尿道造影にて,膀胱の強い変形および右膀胱尿管逆流(grade 4),さらに振子部尿道に憩室を認めたため当科紹介.前部尿道憩室により下部尿路通過障害が発生し,二次性に高圧膀胱および右膀胱尿管逆流が惹起されたと判断し,生後12か月時に膀胱尿道鏡を施行.鏡視下に憩室のdistal lipを確認し同部位に膜様狭窄を認めたため,膜切除を行ったが,憩室に縮小傾向はなく生後17か月時に観血的憩室切除術を施行.術後尿道の拡張は消失したが,右膀胱尿管逆流には改善がみられず,2歳0か月の時点で逆流防止術(Cohen法)を施行した.全手術の終了後に施行した腎シンチグラフィーでは,split renal functionの増悪を認めなかった.

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