2011 年 47 巻 7 号 p. 1053-1058
症例は13歳男児で生後6か月から背部血管腫が認められ,6歳時に全身に多発する皮膚血管腫に対し腫瘤摘出術が施行された.9歳時には貧血を認めたため,上部消化管内視鏡検査が施行され,胃の多発性血管腫が認められた.慢性の消化管出血が持続したため,貧血が改善せず,12歳時に3個の胃血管腫に内視鏡的切除が施行された.さらに下部消化管内視鏡検査で結腸の多発性血管腫が認められ,青色ゴムまり様母斑症候群(blue rubber bleb nevus syndrome)と診断された.小腸造影検査でも多発性血管腫が認められ,消化管出血の出血源と考えられた.ステロイドやインターフェロンの保存的治療は無効であったため,胃1個,小腸31個,結腸7個の血管腫を切除した.消化管血管腫は手術による完全切除が有効だが,可能な限り腸管温存をはかることが肝要である.