日本小児外科学会雑誌
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術前診断し腹腔鏡下手術を施行した小児特発注大網捻転症の1例
棚野 晃秀堀澤 稔
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2011 年 47 巻 7 号 p. 1059-1063

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抄録

症例は8歳女児.急性虫垂炎の疑いで当科を紹介された.身長123.3cm,体重23.9kg,BMI 15.7%,全身状態は良好であった.嘔吐・下痢などの消化器症状は認めなかった.右下腹部から側腹部に圧痛と自発痛を認めたが,腫瘤は触知しなかった.反跳痛を認めたが,筋性防御は陰性であった.血液生化学検査では白血球数12,300/μl,CRP 6.98mg/dlと高値を認めた.腹部超音波検査では,肝下面に腸管と連続性のない高エコーな腫瘤性病変を認めた.腹部造影CTにて,中心に渦巻き状層状構造を有する腫瘤を認めた.大網捻転症による急性腹症の診断にて腹腔鏡下手術を施行した.右上腹部で大網が腫瘤を形成し,腹壁に癒着していた.他の明らかな病変を認めなかったので,大網の健常部分で大網腫瘤を切除した.術後の経過は良好で,術後5日目に退院となった.小児の虫垂炎などの鑑別診断のひとつとして特発性大網捻転症を考慮する必要があると考えられた.

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