日本小児外科学会雑誌
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MEN2B患児に発症した右副腎褐色細胞腫に対する腹腔鏡下副腎部分切除術
江村 隆起岩中 督太田 寛貞弘 光章
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2012 年 48 巻 2 号 p. 236-240

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抄録

症例は14歳の女児,7歳時に甲状腺髄様癌のため甲状腺全摘術施行,その際に多発内分泌腫瘍2Bと遺伝子診断された.8歳時に頸部リンパ節転移に対してリンパ節郭清・化学療法が施行された後,外来にて経過観察中であった.13歳時の腹部CTで右副腎に2cm大の腫瘤を指摘され,FDG-PETおよび^<131>I-MIBGシンチグラムで腫瘤に一致してup takeを認めた.またCEAおよびカルシトニン異常高値と内分泌検査ではカテコラミンの極軽度の上昇を認めた.以上より髄様癌の副腎転移および副腎褐色細胞腫の疑いで腹腔鏡下右副腎部分切除を施行した.組織学的検査にて褐色細胞腫と診断された.小児期の褐色細胞腫の早期診断は困難であり,診断時には巨大であることが少なくない.今回われわれはMEN2Bの経過観察中に発症した右副腎褐色細胞腫を早期に診断し,腹腔鏡下副腎部分切除を施行し得たので多少の文献的考察を加え報告する.

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