日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
横隔膜異常に対する新しい分類と命名法についての一提案
村岡 隆介里村 紀作
著者情報
ジャーナル フリー

1969 年 5 巻 2 号 p. 267-273

詳細
抄録
現在横隔膜ヘルニヤや弛緩症に関する名称については国際的に統一された命名法がなく, 例えば横隔膜後側部のヘルニヤはBochdalek hernia, Pleuroperitoneal hernia, Posteroleteral herniaと呼ばれ, 一般にはこれらの名称で呼ばれるヘルニヤは同一の疾患を意味し, 大部分がヘルニヤ嚢を有していないが, 人によってはこれらの名称で異なるヘルニヤを指している場合もある。また前方胸骨附近のヘルニヤはParasternal hernia, Retrosternal hernia, Sterno-costal hernia, Morgagni's hernia, Larrey's hernia等の名称がある。食道裂孔部のヘルニヤはEsophageal hiatus herniaと呼ばれ, これに関しては名称も分類もほぼ一致しており, Sliding herniaとParaesophageal herniaに分けられている。横隔膜挙上症あるいは弛緩症は米英ではEventration of the diaphragm, ドイツではRelaxatio diaphragmaticaと呼ばれているが, これに先天性の横隔膜発生異常によるもの以外に後天性の横隔神経麻痺による弛緩症あるいは挙上症を含めるか否かで議論があり, 更にはPartial eventrationという用語が有嚢のBochdalekヘルニヤと同じ状態を表現するのに用いられることがある。このような混乱した名称や分類が行なわれている状態では, 横隔膜異常に対する正確な症例数や病態の把握が不正確となるため, 我々は現在まで使用されている分類や名称を分析して, 合理的な分類と命名法を提案したい。
著者関連情報
© 1969 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top