2014 年 50 巻 2 号 p. 251-256
盲腸軸捻転症は放置すると盲腸壊死に陥る緊急性の高い疾患であり小児では稀である.症例は8 歳男児.腹痛,嘔吐を主訴に来院,腹部立位単純レントゲンで左上腹部に胃泡と一部重なる巨大なniveau 像を認めた.右上腹部には多数の小腸ガス像を認めた.単純イレウスと診断し入院の上保存的加療開始した.しかし入院翌日には腹部緊満,広範囲の腹膜刺激症状が出現した.入院時の画像所見を再検討すると盲腸軸捻転症であることが判明し,緊急で捻転解除術を施行した.術後一旦敗血症性ショックに陥ったがその後軽快し退院となった.本症は重症心身障害児の占める割合が高く腹部症状が乏しいため診断が遅れやすい.腹部単純レントゲン検査のみで診断しうる特徴的画像所見の熟知こそが重要であり,その上で慎重な対応をしていく必要があると思われた.