日本小児外科学会雑誌
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症例報告
早期にVater乳頭部癌を生じた家族性大腸腺腫症の1例
鮫島 由友韮澤 融司浮山 越史渡邉 佳子望月 智弘佐藤順一朗
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2015 年 51 巻 5 号 p. 932-936

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抄録

家族性大腸腺腫症(familial adenomatous polyposis: FAP)は大腸癌を高率に発症し,近年では予防的大腸全摘術により予後が改善している.一方,大腸外病変の発症が予後に関与するとされ,特に十二指腸乳頭部癌は重要な予後因子とされる.症例は19 歳男性.父はFAP で死亡.6 歳時に遺伝子検査でFAP と診断された.13 歳時に内視鏡検査で大腸と胃内の多発ポリープおよびVater 乳頭部のポリープを認めた.14 歳時に大腸全摘術を施行した.その後,急性膵炎にて緊急入院,Vater 乳頭部腫瘤の増大を認め,乳頭部切除術を施行した.病理学検査で腺癌を認めた.徐々に胆管口,膵管口周囲の腫瘤が増大したため,再発も考え,1 年10 か月後に膵頭十二指腸切除術を追加した.術後2 年の現在,再発を認めていない.FAP 患者でVater 乳頭部癌の若年発生は稀で,調べ得た限りでは本例は本邦で最年少症例であった.

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