日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
原著
乳児胃食道逆流に対する六君子湯の使用経験
畑田 智子高見澤 滋好沢 克岩出 珠幾吉澤 一貴五味 卓
著者情報
キーワード: 乳児, GER, 六君子湯
ジャーナル フリー

2016 年 52 巻 2 号 p. 243-246

詳細
抄録

【目的】嘔吐や誤嚥性肺炎,肺高血圧症,呼吸障害に対して胃食道逆流現象(gastroesophageal reflux:以下GER)の関与が認められることがある.ただし,生理的にもGER を認める乳児においては,逆流防止手術の適応や手術時期には苦慮することも多い.そこで当院ではGER を認める乳児に六君子湯の投与を積極的に行っている.当院での使用経験について検討を行った.
【方法】2013 年1 月から2014 年6 月までに当科にGER を疑われて紹介になった乳児は25 人であった.臨床症状と上部消化管造影,酸逆流時間率よりGER の評価を行った.GER の診断で六君子湯による治療を行った17 人を対象とした.内服開始後の症状ならびに酸逆流時間率より効果判定を行った.
【結果】六君子湯の内服開始量は平均で0.27 g/kg/day であった.六君子湯内服による有害事象は認められず,全例で内服継続可能であった.17 例中11 例(64.7%)に明らかなGER 症状の改善を認めた.平均内服期間は8 か月であった.
【結論】六君子湯の内服を継続しながら成長を待つことで,外科的処置を回避することができると考えられた.

著者関連情報
© 2016 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top