日本小児外科学会雑誌
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原著
巨大臍ヘルニアに対する手術時期による臍輪収縮率の違い
佐伯 勇加藤 怜子向井 亘今治 玲助秋山 卓士
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2016 年 52 巻 2 号 p. 259-263

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抄録

【目的】以前の報告において,乳児期に巨大臍ヘルニア(臍輪横径20 mm 以上)を有する4 症例に対し乳児期手術に臍形成術を施行し,全例で著明に臍輪の自然収縮を認め良好な形態となることを報告した.巨大臍ヘルニアに対して乳児期早期に手術を施行した群と,通常時期の手術群とで術前術後の臍輪横径サイズの変化を比較検討することを目的とした.【方法】乳児期早期に手術を施行した群10 例と,1 歳から2 歳の通常時期に巨大臍ヘルニアに対して手術を施行した群8 例の臍輪横径の比較検討を行った.【結果】通常時期の手術では,術前と術後1 か月の臍輪の平均横径の変化が26 mm→21.5 mm と収縮率(収縮率16.4%)が少ないのに比べ,乳児期早期の手術では臍輪の平均横径は26.7 mm→13.3 mm(収縮率49.9%)と著明に収縮していた(P<0.01).【結論】巨大臍ヘルニアに対する乳児期早期の根治術は,術後の臍輪の自然な収縮が期待できるため,1 歳を超えて手術をするよりも,明らかに美しい形態の臍を容易に形成することができる.同時手術を要する疾患を有する児においては,乳児期早期に積極的に臍形成術を同時施行すべきである.

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