日本小児外科学会雑誌
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原著
小児急性虫垂炎におけるPediatric Appendicitis Scoreと病理学的進行度との関連性の検討
藤井 喬之下野 隆一久保 裕之田中 彩
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2016 年 52 巻 4 号 p. 933-937

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抄録

【目的】Pediatric Appendicitis Score(以下PAS)は小児急性虫垂炎の診断ツールとして有用とされているが,今回,PAS と病理学的進行度との間に関連性があるかを検討した.
【方法】2012 年4 月から2015 年3 月までの3 年間で,当科にて急性虫垂炎と診断して手術を行い病理学的にも急性虫垂炎と診断された45 例について虫垂炎のPAS と病理学的進行度との間に相関がないかを検討した.
【結果】平均年齢は9.2(4~14)歳で,男性25 例,女性20 例であった.PAS の平均は6.3±1.6 点であった.病理結果ではカタル性虫垂炎は1 例(2%),蜂窩織炎性虫垂炎が18 例(40%),壊疽性虫垂炎が19 例(42%),穿孔性虫垂炎が7 例(16%)であった.PAS は蜂窩織炎性虫垂炎と壊疽性虫垂炎では(5.2±1.5:6.9±1.4),蜂窩織炎性虫垂炎と穿孔性虫垂炎では(5.2±1.5:7.3±0.7),非穿孔性虫垂炎と穿孔性虫垂炎では(6.1±1.7:7.3±0.7)であり,それぞれ統計学的有意差を認めた.
【結論】PAS と虫垂炎の病理学的進行度との間には一部ではあるが相関関係があることが示唆された.PAS 高値の場合は進行症例の可能性があり注意が必要である.

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