日本小児外科学会雑誌
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症例報告
高吸水性樹脂誤飲による十二指腸閉塞の1小児例
朝長 高太郎渡邉 稔彦小川 雄大野村 美緒子右田 美里竹添 豊志子大野 通暢田原 和典渕本 康史金森 豊
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2017 年 53 巻 1 号 p. 100-104

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抄録

2 歳女児.嘔吐を繰り返し活気不良となり救急外来を受診した.非胆汁性嘔吐,頻脈,傾眠傾向を認め,上腹部は膨満していたが圧痛はなかった.血液検査ではBUN の上昇・高ビリルビン血症・高アミラーゼ血症を認めた.腹部エコーは胃の著明な拡張と胆管拡張,膵腫大,十二指腸の膜様構造物を認めた.CT およびMRI では十二指腸下行脚に4 cm 大の単房性囊胞を認めた.上部消化管造影は十二指腸下行脚内に囊胞様の陰影欠損を認め,肛門側の十二指腸は造影されなかった.以上より閉塞性胆管炎・膵炎を伴う十二指腸重複症を疑い手術を施行した.十二指腸を切開して内腔を観察したところ,大きな球型の異物を認めたため摘出した.家族に問診すると発症前に高吸水性樹脂を口に入れていたことがわかり,誤飲による十二指腸閉塞と診断した.術後経過は良好であった.小児が誤飲する異物として高吸水性樹脂を経験したため,その危険性について報告する.

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