日本小児外科学会雑誌
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症例報告
発症から9年後に摘出された気管支異物の1例
今治 玲助三宅 知世向井 亘佐伯 勇秋山 卓士
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2017 年 53 巻 1 号 p. 80-83

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抄録

【はじめに】症状が軽微な気管支異物症例では,喘鳴・咳嗽を呈し診断が遅れることがある.発症から9 年後に診断された気管支異物の1 例を経験したので報告する.【症例】10 歳男児.1 歳時に魚を摂取中に誤嚥し,以後喘鳴が出現し喘息として加療された.2 歳時に気道の精査を行い異常なしと診断された.4 歳時に症状が一旦軽減したが,7 歳時より肺炎を反復し,気管支拡張症と診断された.9 歳時に気管支鏡検査で右中間気管支幹にポリープを認め当科紹介となった.胸部CT 検査施行し,ポリープの遠位側に高吸収域を認め異物が疑われた.気管支鏡下に,ポリープおよび不整形で暗緑色の病変を切除した.病理学検査で魚骨による反応性ポリープと診断された.術後症状は改善したが,気管支拡張は残存し1 年に1 回肺炎を反復している.【考察】気管支異物の診断と治療のためには詳細な病歴聴取と気道異物の可能性を念頭におくことが重要であり,気道異物が否定できない場合は胸部CT を考慮すべきであると考えられた.

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