2017 年 53 巻 4 号 p. 925-929
先天性胆道拡張症(CBD)の分流手術後,膵炎を繰り返し,膵石合併慢性膵炎へと移行,反復する腹痛に対してDouble Roux-en-Yを用いたFrey手術を施行した症例を経験した.症例は20歳,女性.4歳時に特発性胆囊穿孔に対し腹腔鏡下胆囊摘出術,7歳時にCBDに対し分流手術を施行されたが,以降も膵炎で入退院を繰り返していた.ERP,MRCPでは遺残胆管や膵癒合異常は確認できず,主膵管減圧目的に内視鏡的乳頭切開も行ったが再燃を繰り返した.19歳時に腹部CTで膵石形成,膵尾部の萎縮,末梢側膵管の拡張を認め,膵石合併慢性膵炎と診断された.膵石は27 mm大で内視鏡的治療は困難と判断し,分流手術後であったためDouble Roux-en-Yを用いたFrey手術を施行した.術後,膵炎を起こすことなく腹痛も軽快した.CBDに対する分流手術後の慢性膵炎に,Double Roux-en-Yを用いたFrey手術は有効な術式の1つと考えられた.