2017 年 53 巻 6 号 p. 1186-1190
症例は13歳女児.1週間継続する左乳房の発赤・腫脹を主訴に当院を受診し,左乳腺膿瘍の診断で入院となった.減圧のため穿刺排膿し採取した塗抹検査結果はグラム陽性球菌(GPC)3+であった.Vancomycin(VCM)を開始し排膿散及湯も併用したところ,入院4日目に自潰し多量の排膿を認めた.培養検査結果でmethicillin-sensitive Staphylococcus aureus(MSSA)3+であり感受性結果より抗菌薬をcefazolin(CEZ)に変更した.入院10日目に抗菌薬終了,入院11日目に退院となった.退院後7日目に排膿散及湯終了,退院後18日目には自潰部はほぼ上皮化していた.排膿散及湯は主に皮膚や粘膜の化膿性疾患に用い,疼痛軽減の作用や自潰部は排膿しきるまで閉鎖されないなどの特徴を有する.本症例では疼痛軽減や,巨大膿瘍寛解まで自然排膿される効果が確かめられた.