小児期の十二指腸潰瘍出血は成人に比して稀であるが時に止血困難な症例に遭遇する.止血処置を要した小児期の十二指腸潰瘍出血3例を経験したので報告する.症例1:10歳男児.吐血及び貧血を認め上部消化管内視鏡検査を行い十二指腸球部にDieulafoy潰瘍を認めたためクリッピングにて止血した.症例2:9歳男児.喘息発作に対しステロイド投与を連日行っていたところ,吐下血を認め上部消化管内視鏡検査を行った.十二指腸球部に潰瘍出血を認めたが止血困難であり,interventional radiology(以下IVR)を施行し止血した.症例3:14歳男児.吐下血,出血性ショックを認め上部消化管内視鏡検査を施行した.十二指腸前壁の潰瘍から出血を認め一時止血できたが,入院5日目に再出血し再度内視鏡検査を施行するも止血困難で,IVRにて止血した.小児の十二指腸潰瘍出血に対しても内視鏡治療が第一選択と考えるが,止血困難な場合はIVRも有効な手段である.