日本小児外科学会雑誌
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症例報告
頸部囊胞性リンパ管奇形に対する硬化療法17年後に全身の骨病変を認めリンパ管腫症と診断した1例
渡部 亮吉野 裕顕森井 真也子蛇口 琢東 紗弥山形 健基
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2019 年 55 巻 5 号 p. 988-992

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抄録

17歳,男児.出生前に頸部巨大囊胞病変を指摘,生後に頸部囊胞状リンパ管奇形(LM)と診断し乳児期に計2回の硬化療法を施行した.囊胞は著明に縮小し,形成外科で余剰皮膚切除を受けた.5歳時より当院外来通院を自己中断.17歳時に野球練習中に頸椎骨折を生じ,精査で多発性骨囊胞性病変を指摘された.MRIでは頸部に明らかな囊胞病変を認めないが,頸椎,胸椎,肋骨,腸骨,脾臓に多発性囊胞病変を認め,リンパ管腫症と診断した.頸椎骨折部はその後骨癒合し,胸水・心囊水・腹水等なく,血液検査で異常ないことから,現在無治療で経過観察中である.従来の囊胞性リンパ管腫は,macrocystic typeのLMに分類され,全身疾患であるリンパ管腫症とは一般に異なる疾患群とされるが,経過中にリンパ管腫症として発症する報告もあり,LMの診断,治療に加え,長期フォローの方法,時期に関して,今後,検討が必要であると考えられた.

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