抄録
当教室で経験した末梢性肺病巣を有する症例の中で, 気管支ファイバースコープによる擦過細胞診で診断の得られなかった21例を対象とし, ジャイロ式X線透視装置を使用した肺針生検を行った。21例中20例(95.2%)が病理学的, 細菌学的に診断できた。合併症は血痰が1例認められたが, 気胸, 播種性転移は認めなかった。一般的なX線透視装置では, 患者を透視台の上で回転させる必要があり, 穿刺部位を正確に決めにくく, また, 体動により穿刺方向が変化し肺胸膜の損傷を来す危険が考えられる。ジャイロ式X線透視装置を使用することにより, 患者の体位を変えることなく, 管球の位置を細かく移動して, 腫瘤に最も近く胸壁に直角な最良の穿刺部位を設定することができた。