抄録
ヒート・プローブ法の気管支鏡への応用について検討した。1)犬気管壁に対する検討 : 摘出された犬気管壁では60J加熱で粘膜下層に, 90, 120Jでは気管周囲組織に影響が及んでいた。in vivoとしての治癒過程の検討では90J負荷でも4週以内に線維化を伴い修復されていた。2)ヒト気管壁に対する検討 : 90J以下の加熱では影響は粘膜下層から軟骨線維層に留まっていた。3)臨床経験 : 肺癌による喀血症例4例をヒート・プローブ法にて止血した。また肺癌症例で中枢気道に癌の浸潤, 腫瘤性発育を伴う3例に対して腫瘤の縮小を目的としてヒート・プローブ法を用い結果を得た。以上, ヒート・プローブ法は中枢気道に対しても比較的安全に用いることができ, 気管支鏡下治療法の一つとして期待されるものと考えた。