気管支学
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エタノール局注とレーザー照射が有効であった左主気管支原発腺様嚢胞癌の 1 例
大西 尚青木 稔奥村 典仁冨岡 洋海多田 公英桜井 稔泰坂本 廣子橋本 公夫岩崎 博信
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1996 年 18 巻 2 号 p. 176-181

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抄録
症例は46歳, 男性。肝硬変, 肝細胞癌術後にて前医に通院中, 平成6年春頃より時々労作時息切れを自覚するようになった。平成7年2月胸部X-Pにて, 左下葉の無気肺を指摘され, 当院を紹介受診した。気管支鏡検査では, 左主気管支入口部をほぼ完全に閉塞する腫瘍がみられ, 組織診により腺様嚢胞癌と診断した。基礎疾患, 肝機能を考慮し内視鏡的治療を選択した。局所麻酔下に内視鏡的エタノール局注およびNd-YAGレーザー照射を数回施行した。経過中, 高度に変性壊死した組織を喀出し無気肺は改善した。治療後, 腫瘍は気管分岐部にわずかに残存するが著明に縮小した。肝硬変による高度肝機能低下患者に発生した腺様嚢胞癌の気管支閉塞に対しエタノール局注とレーザー照射が, 安全かつ有効であった症例を経験したので報告した。
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© 1996 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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