1998 年 20 巻 2 号 p. 147-149
最近, 義歯誤嚥による肺放線菌症と考えられる症例を経験した。症例は, 53歳男性。平成8年5月より右中葉の異常陰影, 炎症反応陽性を繰り返し, 偶然合併した感染性肺嚢胞の手術の際, 中葉切除を受けた。病理により肺放線菌症と診断された。術後4ヵ月で, 右下葉肺炎をおこし, 再入院となった。肺炎は抗生剤により改善したが, さらに入院中に義歯を喀出したのち症状は軽快した。気管支鏡にて右中間気管支幹に炎症性肉芽を認め, 経過より義歯誤嚥による肺放線菌症と考えた。