抄録
背景.HIV感染者における気管支内病変では日和見感染症と日和見腫瘍を鑑別することが重要である.今回我々は閉塞性左無気肺で発症したAIDS関連気管支内悪性リンパ腫の1例を経験した.症例.58歳,男性.咳嗽,呼吸困難を主訴に当院救急外来を受診.画像上,閉塞性左無気肺を認め,気管支鏡検査では左主気管支にポリープ状の白色病変を認めた.経気管支生検でdiffse large B cell lymphomaと診断.EBNA2,LMP1陽性であり,EBウイルス(EBV)の関与が示された.腫瘍発育は速く,組織は広範な壊死を伴っていた.患者はHIV抗体陽性,CD4は44個/μlと著しく低下していた.病期はI期であり,AIDS専門施設にて局所放射線療法が施行された.結論.AIDS関連気管支内悪性リンパ腫は稀であり文献的考察を加えて報告する.