気管支学
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症例
成人T細胞白血病リンパ腫の診断にセルブロックが有用であった1例
山本 正嗣里内 美弥子高瀬 直人伊藤 彰一河 良崇河野 祐子浦田 佳子島田 天美子服部 剛弘根來 俊一
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2017 年 39 巻 2 号 p. 165-169

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抄録

背景.経気管支吸引針細胞診や経気管支吸引針生検は,縦隔や肺門のリンパ節病変の診断に用いられる.また病理診断において細胞診と組織診で診断が異なることがあり,注意が必要である.症例.70歳男性.他病経過中のCTで右肺下葉の結節陰影を指摘され,胸部CTで精査したところ,鎖骨上窩,縦隔および両側肺門リンパ節腫大を認めた.気管分岐下リンパ節からの経気管支吸引針細胞診では小細胞癌が疑われたが,経気管支吸引針生検と細胞診検体のセルブロックの免疫組織化学的検討によって,成人T細胞白血病リンパ腫と診断した.化学療法が奏効し,治療後1年経過した時点でも明らかな再発は認めていない.結論.小細胞癌と悪性リンパ腫は細胞診のみでは鑑別が困難なことがあり,十分な組織採取が困難な場合には形態学的・免疫組織学的検討の必要性も踏まえ,セルブロック作製を念頭に腫瘍細胞を採取することが重要と考えられた.

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© 2017 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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