気管支学
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総説
悪性胸膜中皮腫:最近の治療法の動向
多田 裕司
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2017 年 39 巻 3 号 p. 210-214

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抄録

背景.悪性胸膜中皮腫は世界的には患者数が増えているにも関わらず,最近10年は劇的な治療の進歩がみられていない.化学療法の効果もプラトーに達しており,集学的治療も患者選択を慎重に行わないと完遂が難しい状況である.目的.過去10年間の手術,放射線治療,化学療法や分子標的剤の臨床試験が中皮腫に対して施行されてきたが,それらの結果をまとめた報告書が必要である.方法.国内外で悪性胸膜中皮腫を対象に行われた各治療法の臨床試験を文献検索し,試験結果をまとめた.さらに学会で発表された現在進行中の有望な治療法についても紹介する.結果・結論.非小細胞肺癌と異なり中皮腫には特異な遺伝子変異や分子マーカーが発見されておらず,単剤で有効な分子標的剤は存在しない.しかし血管新生阻害剤,遺伝子治療,免疫チェックポイント阻害薬など,新たな治療法の開発も進行中であり,今後期待される.

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© 2017 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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