気管支学
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症例
術前・術中診断が困難であったコロイド腺癌の1例
荒木 勇一朗原田 亜紀子石原 明典前田 浩義
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2017 年 39 巻 3 号 p. 251-255

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抄録

背景.コロイド腺癌は,多量の粘液貯留の中に腫瘍細胞が少量浮遊する特徴的な腺癌であるため,生検による組織診断や術中迅速診断が困難である.症例.73歳女性.胸部異常影から肺癌が疑われ,当院で経気管支肺生検を2回,CTガイド下肺生検をそれぞれ行ったが,確定診断ができなかった.そのため,診断・治療目的で手術を施行することとした.術中迅速診断でも悪性所見が認められず,胸腔鏡下肺部分切除を施行し,最終的に術後検体による病理組織診の結果よりコロイド腺癌と診断し得た.結論.コロイド腺癌は肺癌の中でも頻度は極めて稀な組織型である.粘液を多く含む腫瘍で診断に難渋する場合,コロイド腺癌も考慮すべきと考えられる.

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© 2017 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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