気管支学
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症例
Endobronchial Watanabe Spigotによる気管支充填術で制御し得た肺アスペルギローマによる喀血の1例
柳沼 裕嗣
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2017 年 39 巻 4 号 p. 349-353

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抄録

背景.喀血症例に対する治療手段は気管支動脈塞栓術や外科的治療が一般的ではあるが,近年Endobronchial Watanabe Spigot(EWS)による気管支充填術の有効例が増えている.症例.82歳男性,既往歴は特発性肺線維症で在宅酸素療法を受けていた.肺アスペルギローマのため当科外来に通院していたが,喀血を主訴に当院に救急搬送され,入院となった.止血剤投与にて一時出血は落ち着いたが,入院後第3病日の夜に大量の喀血を認めた.夜間で気管支動脈塞栓術は困難な状況であったことから,EWSによる気管支充填術を行う方針とした.気管支鏡にて右B2およびB3からの出血を認めたため,それぞれにEWSを充填した.充填術後は喀血なく経過し,術後23日目に独歩退院した.現在充填術後1年が経過したが,喀血の再発は認めていない.結語.EWSによる気管支充填術は,喀血症例に対する緊急時の処置として有用な手段と考える.

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© 2017 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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