気管支学
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症例
高周波スネアによる腫瘍切除術を施行した気管支発生の炎症性筋線維芽細胞腫瘍の1例
浅井 悠一郎梅田 泰淳黒沼 幸治横山 早織近藤 瞬須藤 悠太小林 智史亀田 優美錦織 博貴千葉 弘文山田 玄高橋 弘毅
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2017 年 39 巻 5 号 p. 386-391

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抄録

背景.炎症性筋線維芽細胞腫瘍(inflammatory myofibroblastic tumor:IMT)は,炎症細胞浸潤を伴う筋線維芽細胞の増殖からなる稀な腫瘍である.今回,我々は気管支内腔にポリープ状に増殖したIMTに対して,気管支鏡下に高周波スネアによる切除を行った.症例.56歳の男性.咳嗽,喘鳴,血痰を主訴に近医を受診した.胸部CTで右主気管支内腔に結節性病変を認めた.FDG-PETで同部位に一致した集積亢進を認め,悪性腫瘍が疑われたため,精査・治療を目的に当科に紹介となった.気管支鏡検査では右主気管支内腔に軟骨輪側に基部をもつポリープ状腫瘍を認めた.画像所見から基部は比較的小範囲に限局していると推定されたため,高周波スネアによる気管支鏡下腫瘍切除術を施行した.病理組織検査では,異型性に乏しい核を有する紡錘形細胞の束状増殖に加え,背景にはリンパ球と形質細胞を主体とした細胞浸潤を認めることから,IMTと診断した.さらに1カ月後に切除断端にargon plasma coagulationを追加した.切除後1年4カ月が経過したが再発を認めていない.結論.気管支内腔にポリープ状に増殖したIMTに対する気管支鏡下腫瘍切除術は,有用な治療法の一つになりうると考えられた.

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© 2017 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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