気管支学
Online ISSN : 2186-0149
Print ISSN : 0287-2137
ISSN-L : 0287-2137
症例
気管支鏡下にN-butyl-2-cyanoacrylateを用いて治癒した術後難治性肺瘻の1例
稲福 賢司諸星 隆夫足立 広幸増田 晴彦安藤 耕平益田 宗孝
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 40 巻 1 号 p. 7-10

詳細
抄録

背景.術後肺瘻は時として難治性であり,内視鏡的な治療が選択されることもある.症例.74歳男性.右上葉肺癌に対して,右上葉切除術を施行した.術後肺瘻が遷延し,自己血癒着療法や再手術を施行するも消失しなかった.気管支鏡検査で責任気管支が右B4であることを同定し,気管支鏡下フィブリン糊散布とEndobronchial Watanabe Spigot(EWS)充填術を施行し,肺瘻は消失した.しかし,EWSが脱落し,肺瘻の再燃を来した.EWSやポリグリコール酸(polyglycolic acid,PGA)シートとフィブリン糊を用いた気管支塞栓術を計6回施行するも,奏功しなかった.そこでフィブリン糊とPGAシートに加えN-butyl-2-cyanoacrylate(NBCA)を併用して気管支塞栓術を施行し,肺瘻を消失させることができた.術後3年が経過しているが,肺瘻の再燃は認めていない.結論.NBCAを併用した気管支塞栓術は,術後の難治性肺瘻に対しても有用な手段であると考えられた.

著者関連情報
© 2018 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top