2018 年 40 巻 1 号 p. 7-10
背景.術後肺瘻は時として難治性であり,内視鏡的な治療が選択されることもある.症例.74歳男性.右上葉肺癌に対して,右上葉切除術を施行した.術後肺瘻が遷延し,自己血癒着療法や再手術を施行するも消失しなかった.気管支鏡検査で責任気管支が右B4であることを同定し,気管支鏡下フィブリン糊散布とEndobronchial Watanabe Spigot(EWS)充填術を施行し,肺瘻は消失した.しかし,EWSが脱落し,肺瘻の再燃を来した.EWSやポリグリコール酸(polyglycolic acid,PGA)シートとフィブリン糊を用いた気管支塞栓術を計6回施行するも,奏功しなかった.そこでフィブリン糊とPGAシートに加えN-butyl-2-cyanoacrylate(NBCA)を併用して気管支塞栓術を施行し,肺瘻を消失させることができた.術後3年が経過しているが,肺瘻の再燃は認めていない.結論.NBCAを併用した気管支塞栓術は,術後の難治性肺瘻に対しても有用な手段であると考えられた.