2018 年 40 巻 3 号 p. 251-255
背景.気管支食道瘻は肺炎や膿胸を合併し,時に致死的となる疾患であるが,保存的治療後の再燃に対する外科的介入の成功例の報告は稀である.症例.63歳男性.4年前に他院で,食道潰瘍を背景に発生した肺食道瘻に対して内視鏡治療歴がある.1か月前から続く食後の嘔吐を主訴に当院を受診し,精査で気管支食道瘻とそれに伴う肺炎,胸部下部食道癌に伴う食道狭窄と診断された.中心静脈栄養管理および抗菌薬治療の後,一期的に右下葉切除術および食道亜全摘術を施行された.術後15日目で軽快退院した.術後6か月現在,外来で術後補助化学療法中である.結論.進行食道癌に伴う通過障害により,治療後の良性気管支食道瘻が再燃をきたしたと考えられた.肺炎および低栄養の改善を待つことにより,一期的な手術が奏功した.