背景.癌の化学療法中に有瘻性膿胸を発症した場合は抗癌剤の投与が困難となるばかりでなく,有瘻性膿胸自体によっても全身状態が悪化して,遷延すれば予後に影響を及ぼす.症例.54歳,男性.右上中葉原発の肺腺癌(cT4N2M1a/stage IVA,同側肺転移,悪性胸水)に対し化学療法(カルボプラチン/パクリタキセル/ベバシズマブ)を開始したが2コース目の途中でS状結腸穿孔と右肺の気胸を併発した.前者は手術で治癒したが右気胸はその後に有瘻性膿胸となった.胸腔ドレナージ,Endobronchial Watanabe Spigot(EWS)気管支充填術を行い,膿胸腔と気漏は減少した.しかし,気漏は継続するため開窓術を行い,その後胸郭成形と大胸筋弁充填術を施行して治癒に至った.結論.肺癌と関連した難治性有瘻性膿胸に対してもEWS気管支充填術は有用な治療選択肢である.