気管支学
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症例
気管支肺胞洗浄が診断に有用であったエルトロンボパグによる薬剤性肺障害が疑われた1例
齊藤 尚美大谷 俊人山根 真由香大成 洋二郎
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2018 年 40 巻 5 号 p. 459-463

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抄録

背景.エルトロンボパグはトロンボポエチン受容体作動薬であり,特発性血小板減少性紫斑病に対する治療薬である.同薬剤による薬剤性肺障害の症例は未だ報告されていない.症例.84歳男性.間質性肺炎で通院中,2016年9月より特発性血小板減少性紫斑病に対しエルトロンボパグ内服を開始し,10月に低酸素血症を生じ入院した.胸部単純CTで両肺びまん性にすりガラス陰影を認め,KL-6 2362 U/mlと高値であった.間質性肺炎急性増悪と考えられたが,原因精査のために気管支鏡検査を行ったところ,気管支肺胞洗浄でリンパ球比率が71.4%と上昇しており,薬剤リンパ球刺激試験陽性と合わせてエルトロンボパグによる薬剤性肺障害と診断した.同薬剤を中止し,ステロイド療法を行い良好な治療効果を得た.結語.エルトロンボパグによる薬剤性肺障害の1例を経験した.

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© 2018 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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