気管支学
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原著
急性呼吸不全におけるジャクソンマスク換気の気管支鏡検査での有効性と安全性の検討
鈴木 知之鈴木 学坂本 慶太橋本 理生石井 聡仲 剛飯倉 元保泉 信有竹田 雄一郎杉山 温人
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2019 年 41 巻 2 号 p. 110-116

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抄録

背景.呼吸不全患者に気管支鏡検査を行う場合,鼻カニューレや酸素マスクといった従来の酸素投与方法では酸素化を維持できず,検査を施行できない症例がある.近年になり非侵襲的陽圧換気(Noninvasive positive pressure ventilation:NPPV)や高流量鼻カニュラシステム(High-flow nasal cannula:HFNC)の補助下で気管支鏡検査を行うことの有用性が示されている.呼吸不全患者に対し,ジャクソンリース回路による用手的マスク換気下で気管支鏡検査を行うことの有効性と安全性について,これまで報告はない.目的.急性呼吸不全を呈した患者において,ジャクソンマスク換気の気管支鏡検査での有効性と安全性を評価する.方法.2014年6月から2016年12月の期間に,当院にてジャクソンマスク換気による酸素供給下で気管支鏡検査を実施した,現病および処置に伴い急性呼吸不全を呈した患者7例について,診療録より後方視的に検討した.結果.呼吸不全に対応しながら7例すべてにおいて気管支鏡検査を完遂できた.気管支肺胞洗浄(bronchoalveolar lavage:BAL)は5例,経気管支肺生検(transbronchial lung biopsy:TBLB)は5例,血腫除去1例,超音波気管支鏡下経気管支リンパ節穿刺(endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration:EBUS-TBNA)1例を施行した.ジャクソンマスク換気と関連する明らかな偶発症は認めなかった.全例で診断や治療に寄与する結果が得られた.結論.急性呼吸不全を呈した患者において,ジャクソンマスク換気を併用することで検査可能となる症例が存在することを確認でき,有用で安全な方法の1つであることが示唆された.今後さらなる症例の蓄積と,十分な検討が必要である.

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© 2019 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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