気管支学
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症例
肺癌左上葉切除後の気管支断端瘻膿胸に対し,瘻孔閉鎖の工夫のもとで導入し得たVAC療法が有用であった1例
池田 政樹萩原 清彦村田 祥武藤永 卓司
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2019 年 41 巻 3 号 p. 303-309

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抄録

背景.膿胸に対する局所陰圧閉鎖(vacuum assisted closure,VAC)療法は有用だが,有瘻性では陰圧がかからず使用が難しい.肺癌術後の気管支断端瘻膿胸に対し,瘻孔閉鎖の工夫のもとで導入し得たVAC療法が有用であった1例を報告する.症例.67歳女性.肺癌に対し左上葉切除および2群リンパ節郭清を施行した3か月後に気管支断端瘻アスペルギルス膿胸を生じ,開窓およびEWS充填を施行した.気漏が残存したが,瘻孔部を抗菌作用のあるカルボキシメチルセルロース銀(アクアセルAg)で被覆することで翌日からVAC療法を導入できた.組織傷害を危惧し2週間かけて吸引圧を-25 mmHgから-100 mmHgに上げた.下葉膨張と肉芽組織形成により3週間で断端は閉鎖され,洗浄が可能になった.抗真菌薬の内服と膿胸腔浸漬で真菌は消失した.10週間の陰圧療法で著明に膿胸腔が縮小し,有茎大胸筋弁のみで閉鎖できた.

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© 2019 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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